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名古屋大学 地盤工学講座 地盤防災工学グループ

研究紹介

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インフラ施設の耐震診断〜巨大地震が来たらどうなる?〜

 国土の狭い日本では,大都市のほとんどは軟弱な沖積平野に立地しており,さらに,近年の日本の重要な土木構造物は,空港や高速道路,新幹線を始めとして,その力学挙動において未解明な部分の多い中間土(砂や粘土,泥岩等が混在している土)で埋め立てられた人工地盤(海上人工島や埋立地)に立地されることが多くなっています.日本の重要なインフラは,地震被害が懸念される軟弱地盤上に多く蓄積されており,地震被害を最小限にとどめるためには耐震性能を的確に照査することが不可欠となっています.研究室では,特に中部圏の複数の官民との共同プロジェクトに参加し(国交省,中部電力,東邦ガス,NEXCO中日本etc),地震時の地盤被害を予測するとともに,インフラ設備の耐震性評価と耐震強化対策の検討に加わっています.
海底の軟弱粘土が地震動によって乱され,名古屋港の高潮防波堤が4m以上もの沈下が生じる可能性があることを指摘(現状高は6.5m).








液状化の危険性が高い地盤に建設されたガス供給設備の地震時被害予測(側方流動や沈下) .

浦安の液状化被害の検証とハザードマップの精緻化

東日本大震災では,震源から離れているにも関わらず,浦安をはじめとした東京湾沿岸部で大規模な液状化被害が発生しました.研究室では,なぜこのような甚大な被害が発生したのかを検証し,より確実性の高い液状化被害のハザードマップの作成を目指しています.これまで,実際に浦安市で地表から70mまでのサンプリングを実施し,液状化した表層地盤だけでなく,深部に堆積する軟弱粘土層の力学特性を調べ,GEOASIAによる数値解析による検討を行ってきました.この結果,液状化の被害は,一般的にこれまで指摘されてきた「地震動の継続時間」や「埋立年代」だけでなく,液状化層の下の「地層構造」(土の種類や傾斜etc)が大きな影響を及ぼすことが明らかとなっています.


河川堤防の地盤変状予測解析と耐震対策工の検討

 東日本大震災では広い範囲で河川堤防の沈下や崩壊など大きな被害が発生し,南海トラフでの巨大地震の発生が危惧されていることから,河川堤防の耐震対策が急務となっています.特に濃尾平野,関東平野,大阪平野には海面より標高の低い海抜ゼロメートル地帯が広がっており,河川堤防が被害を受けて浸水した場合には甚大な人的被害が発生することが考えられます.研究室ではボーリング採取試料の室内試験結果を基に河川堤防をモデル化し,巨大地震時に生じる地盤変状を予測するとともに,耐震対策の効果や注意すべき点について検討しています.この研究成果はNHKの番組にも取り上げられ,河川堤防の耐震対策の必要性を指摘しています.