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名古屋大学 地盤工学講座 地盤力学・土質基礎工学グループ

研究紹介

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泥岩のスレーキング進行が盛土の耐震性に及ぼす影響に関する研究

  泥岩で造成された盛土は,施工直後は安全でも,水の作用により時間経過とともに泥岩が泥濘化,細粒化(スレーキング)することにより,安定性が低下する恐れがあります.実際に地震によって泥岩で造成された盛土が崩壊した事例もあり,泥岩盛土の長期的な耐震性能に注目が集まっています.一方で,現在の設計・施工管理基準は,盛土施工後の沈下に着目したものであり,盛土の耐震性は考慮しておりません.そこで,管理基準の見直しに向けて,スレーキングの進行程度や土の密度を変えて実験を実施し,スレーキングの進行が力学特性へ及ぼす影響や,どのようにしたらその影響を軽減できるかを調べています.また,実験結果から得られたパラメータを基にして行った数値解析により,スレーキング進行が盛土の耐震性に及ぼす影響について調べています.

南海トラフ巨大地震により発生する津波堆積物・災害廃棄物の有効利活用に関する研究

 2011年東北地方太平洋沖地震では,大量の津波堆積物等が発生しました.この中で除去しきれない木くず等の可燃物を含む分別土砂に関しては,木片混じり土の性状が不明であることや,木片腐朽の影響に沈下等が懸念されており,現在,有効利活用されておりません.
 この研究では,津波堆積物を土構造物の材料として用いることを目指し,実際に東北地方太平洋沖地震で発生した津波堆積物を用いて,各種室内試験を実施し,締固めた津波堆積物の強度特性や変形特性を把握しています.また,木片腐朽による津波堆積物の力学特性の変化も把握することで,津波堆積物を用いた土構造物の長期的に問題なく用いることが可能なのか調査しています.

GEOASIAによる断層的破壊とそれに伴う地震発生シミュレーション

 近年,原発の再稼働問題をはじめ,断層の存在が脚光を浴びており,弾塑性破壊により発生する表層地盤の変状や地震動の予測が重要視されています.この研究では,断層の破壊挙動をひずみの局所化に伴う進行性破壊現象として捉え,断層破壊を再現しています.また,その破壊に伴い発生する振動が地震となります.今後は,さらに材料などについてリアリティを追求し,また,三次元的な計算を実施するため,スーパーコンピュータを使用し,より精緻に地震発生シミュレーションを行っていきます.

名古屋港浚渫土砂の有効利活用問題への取り組み

 名古屋港は「伊勢湾スーパー中枢港湾」に指定され,日本の主要国際貿易港としての飛躍が期待されています.その一方で,名古屋港は周辺河川から流れ込む大量の土砂に悩まされる浅水深の天然の不良港でもあります.大型化した船舶が安全に航行するための航路・泊地の整備拡充のために浚渫される土砂の量は,毎年100m3以上に上ります.浚渫土砂は名古屋港ポートアイランド(PI)に仮置きされていますが,@PIの受け入れ容量の限界,A大地震でのPIの崩壊の危険性から,高含水比状態にある浚渫土砂を改良し,有効利活用することが喫緊の課題となっています.
 この研究では,管中混合固化処理工法を想定してセメント改良土を作製し,その物理学的性質や力学的性質などを調べるために,各種室内試験を行っています.その試験結果をもとに弾塑性構成モデル(SYSカムクレイモデル)を用いて力学的挙動を再現し,改良土の力学的性質を把握しています.さらに,管中混合固化処理工法を実地盤に適用した際の挙動を数値解析コードGEOASIAにより解析することで,浚渫土砂の有効利活用を図ることを検討しています.